完全に自主提案です。もともとメディアの取引はあったのですが、クリエーティブの提案は初めてでした。元々自分が音楽をやっていたこともあり、「J-POWERさんの発電所でオリジナル楽曲・MVをつくったら面白いだろうな」と思い切って持っていきました。
クライアントはもちろん驚いていたのですが、オーイシさんのファンがいらっしゃったこともあり、ご縁あって実施に至りました。


このプロジェクトが始まったきっかけは?
-
フルカワ
プロモーションの企画者はフルカワさんご本人ですよね。
-
フルカワ そうです。企画・提案して、レコード会社・事務所・MVの制作チームに対して、自分がハブとなって密にコミュニケーションをとりながら進めていました。
企業案件とはいえ、楽曲の扱いは「レーベルからリリースするメジャーの新曲」。オーイシさんのライブでも歌う楽曲になるので、ご本人の意思は最大限尊重して制作を進めました。
今回のプロモーションで意識されたことはありますか?
-
フルカワ 「広告」ではなく「コンテンツ」をつくろうと思い、取り組みました。ぶっちゃけ、「ただ情報を押し付けるだけの広告」はあまり好きではなくて笑。自分が「こういうものが見たい」というコンテンツなら、多くの人に楽しんでいただけるのではないかと思い、制作していました。
ただ、クライアントにとっても前例のないチャレンジであるので、撮影周りなどの不安がないよう、制作進行することを心がけました。

今回、楽曲はクライアントのメディアからは発信されていないんですよね。
-
フルカワ はい。原盤はレーベルにお渡しする形です。15秒のCMもレーベル・アーティストの公式YouTubeチャンネルから流しました。結果それが1楽曲のプロモーションに見えて、広告色が薄かったのも良かった点かなと思います。その代わり、委嘱扱いという形で、クライアントは比較的自由度が高く楽曲を使用できる仕組みにしています。
クライアントや世の中の反応はいかがでしたか?
-
フルカワ 今までにないくらい広報室に問い合わせがあったり。MVを見てJ-POWERの就職を志望した、という就活生もいたそうです。YouTubeやSNSのコメントもたくさんあって。なかでも「私は呼吸器をつけているのですが、電気の素晴らしさが伝わりました」と感銘を受けてくださったり、「発電所で働いており、勇気づけられました」と実際に電気関連の仕事をする方からリアクションをいただけたのは嬉しかったですね。
個人的には、自分の携わった曲が武道館のライブでも歌われたのはとても痺れました!笑

プロジェクト全体を振り返ってみて、いかがでしょうか。
-
フルカワ 「自分の好き」を信じて良かったなと思いました。データを見て調査して…というアプローチも有効だと思いますが、私はあまりドキドキしなくて。「自分が好きなものを見るためにやる」という言わば究極の「n=1」が、結果多くの人を動かすことにつながったのかなと思います。
また、コンテンツの力のすごさを改めて感じました。広告の土壌で何かをつくるのと、向こうのフィールドに入り込んでつくるのは違うんだなと。この施策がADEXの新しいビジネスが開けるきっかけになればと思います。